申告期限の延長の特例の申請をお勧めします

法人税の確定申告書(地方税も含む)の申告期限は、原則として決算日の翌日から2カ月以内となっています。3月決算法人であれば、5月の末日ということになります。この申告期限には例外があり、申請により1ヶ月延長することが可能となっています。実際にどの程度延長申請が出されているかはわかりませんが、実際に活用している法人は規模の大きいところを除いてあまりないのではないかというの実感です(他税理士ヒアリンクによる)。この規定、存在自体は有名なので税理士であれば知らない人はいないはずですが、申告書の提出は2ヵ月以内がマスト、申告期限の延長は上場企業などの一部の法人がするもので自分達には関係ないと思い込んでいる税理士が多いのではないかと思います。

しかしとなりますが、延長が認められ理由の「定款で3ヶ月以内に株主総会」は特段ハードルが高いものではありません。定款に定めておくか、定款に定めがない場合は定款を変更することで可能となるものです。中小零細企業であっても積極的に申告期限の延長を行うことで余裕をもって決算を組むことが可能です。延長申請しても従来通り2ヵ月以内申告することは可能ですし、イレギュラーな事態が生じたときのため、保険的な意味合いも込めて申告期限の延長申請は会社の規模に問わず必須と考えます。

また、会社法上は定時株主総会は毎事業年度一定の時期に召集しなければならないと規定していますが、明確な期限が定めているわけではありません(理論上は3ヶ月を経過した後に定時株主総会を開催することもありえる)。だたし、株主が行使する議決権は、基準日から3ヶ月以内に行使するものに限られるという理由から3ヵ月以内に開催されることになっています(会社法124)。

(延長が認められる理由)

・会計監査人(監査法人、公認会計士のこと)の監査を受けなければならない(主に上場企業)

会計監査人の監査は不要だが、定款で3ヵ月以内に株主総会を開催する旨を定めている法人

・その他(基通17-1-4) https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/17/17_01.htm

(メリット/デメリット)

メリット デメリット 留意点
申告期限の延長 ・スケジュールに余裕が生じ、物理的、心理的に会社、税理士ともに負担が減少する ・単純に作業・検討時間が増えることで決算処理、税務処理の精度が向上する ・基本的にない ・2ヵ月以内に見込納付がない場合、利子税の負担が生じる ・消費税は延長がないため、消費税は2ヵ月以内に申告納付が必要となる

(手続き関係)

法人税 https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_12.htm

地方税 http://www.tax.metro.tokyo.jp/shomei/houjin/04a_13-2a.pdf (直リンク注意)

(留意点)

法人税の延長が認めれた場合は自動的に法人住民税の延長が認められることになっています。そのため法人住民税については申請書という形式ではなく届出書形式になっており、添付書類として受領印が押された国税の延長申請書の写しの添付が必要です。東京都の場合は法人事業税の延長申請書も含めて一枚の様式にまとまっています。

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