現物不動産の売買で、買主が売主に支払った未経過固定資産税相当額を租税公課に計上して否認された件。地裁で原告の請求を棄却され控訴した事例。高裁でも棄却されました。
原告(納税者)は、未経過固定資産税は地方税の応益的負担の観点から固定資産税としての性質は失われておらず租税公課に算入されものであるし、取得価額に含まれることの法令の定めがなく法人税法や企業会計の原則に反している主張。被告(税務署)は従来通り未経過固定資産税は売買価額の一部だから取得価額に含まれる。租税法律主義の元で取引実態に基づいて課税していると主張。
未経過固定資産税の取扱いについては、実務上は売買代金を構成するものとして処理をするが、たしかに法令上は明文化された規定はなく原告のいいたいこともよく理解できます(通達にはある)。ただし、固定資産税は1月1日現在の所有者に課税されるものであり、保有期間に応じて課税されるものではありません。また、法令には1月~12月分とか、4月~3月分といった期間の規定はなく、あくまでもある一定時点の所有者に対して課すとしかいっていません。つまり、固都税の精算は当然のように行われていますが、地域によって暦年で精算するのか年度で精算するのかバラバラなのも、法令上の決まりはないからです。
また、売買代金を構成するものですから当然消費税の対象にもなります。
でも、これが仮に最高裁までいって原告が勝ってしまったら(99%ないと思いますが)、確立していた取扱いがひっくり返り、年金払いの生命保険みたいに大変なことになってしまいますね。