総収入金額と収入金額

所得税法では所得を10種類に分類しております。また、原則として各種所得とは収入金額から必要経費を控除した金額であるとし規定しております。そして収入金額については所得税法36条で下記のように規定されております。

第三十六条 その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
この条文の中で、「収入金額」と「総収入金額」という二つの用語がでてきます。
なぜ「収入金額」と「総収入金額」と用語を使い分けているのかということについては漠然と疑問に思っていましたが租税の専門誌「税研Vol.35-No.1」でこのことについて触れている記事がありました。
利子補給金が不動産所得に含まれるか否かが争点となった東京地裁の裁判例で、「総」の字を付けていることについて裁判所は次のように判断しているということです。
副収入や付随収入等も加わって、その収益の内容が複雑な場合が多いことを踏まえたものである
「総収入金額」は事業所得や不動産所得で用いられていますが「総収入金額」は「収入金額」よりも広い概念であるということです。この考え方は所得税法基本通達27-5に繋がっていくものであると考えます。

27-5 事業所得を生ずべき事業の遂行に付随して生じた次に掲げるような収入は、事業所得の金額の計算上総収入金額に算入する。(昭55直所3-19、直法6-8、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平13課個2-30、課資3-3、課法8-9改正)

(1) 事業の遂行上取引先又は使用人に対して貸し付けた貸付金の利子

(2) 事業用資産の購入に伴って景品として受ける金品

(3) 新聞販売店における折込広告収入

(4) 浴場業、飲食業等における広告の掲示による収入

(5) 医師又は歯科医師が、休日、祭日又は夜間に診療等を行うことにより地方公共団体等から支払を受ける委嘱料等

(注) 地方公共団体等から支給を受ける委嘱料等で給与等に該当するものについては、28-9の2参照

(6) 事業用固定資産に係る固定資産税を納期前に納付することにより交付を受ける地方税法第365条第2項《固定資産税に係る納期前の納付》に規定する報奨金

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