平成29年度税制改正要望

各省庁からの平成29年度税制改正要望が出そろったようだ。

平成29年度税制改正要望

金融庁 上場株式等の相続税評価の見直し

上場株式等の相続税評価の見直しは、現在100%評価となっているものを、価格変動リスクを考慮して10%程度減額して評価するというもの。平成28年度から引き続いての要望だが、平成28年税制改正要望時は7割相当で評価を要望していたが、平成29年度税制改正要望ではこれ弱めた感じか。また、相続時後に価格が著しく下落した上場株式等について評価の特例を設けることを要望している。背景には「相続後、遺産分割協議等を得るまでは譲渡できない実態があり~」とのことだが、価格上昇リスクもあるので要望が通るのかどうかは不明。

厚生労働省 子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設

仕事と家庭を両立し、女性の活躍を促進する等の観点から、ベビーシッター等の子育て支援に要する費用について控除制度を創設するとのこと。どのような形で控除をとるのか不明だが特定支出控除の特定支出に含められる可能性がある。

厚生労働省 た ばこ税の税率の引き上げ

消費税率の10%を見送った影響で、本年の税制改正要望に挙げられたものと思われる。目的はたばこの消費の抑制である。日本におけるタバコ税の税率は諸外国に比べて低くて販売価格も低いことと、増税してもたばこ税の税収は安定するとの理由によるものである。

経済産業省 印紙税のあり方の検討

引き続き、印紙税のあり方についての検討が要望事項にあがっている。印紙税については課税の根拠がいまいちよくわからない上、電子文書であれば課税されないので、公平性に問題がある。1号文書や2号文書などは金額によって無視できない負担となるので、個人的には撤廃をお願いしたいところである。

経済産業省 所得拡大促進税制の見直し

税額控除率を2倍にするというもの。中小企業であれば控除率を20%として、限度額も倍の法人税の40%にするというもの。法人税の40%(中小企業)ともなれば半分近くまで減額できるということで、更に存在感が増すことになる(税理士が適用を失念した場合の危険度も増す)。

経済産業省 法人税の申告期限の見直し

会社法上は株主総会の日を柔軟に設定できる一方で、法人税の申告期限は決算日の翌日から3カ月以内(延長あり)なので、法人税法に縛られてしまっているとのこと。企業と株主・投資家の対話期間を欧米諸国並に確保できるようにすることが目的である。海外投資家もその期間の短さにネガティブ印象を持っているとのこと。個人的には、そのようなグローバルな理由はともかく、4カ月程度にしていただきたいところである。

他にも多くの要望がでている。経済産業省と金融庁の要望は実務にも多くの影響があるので留意していきたい。

 

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