更正の請求と税務署長の処理期間

更正の請求があった場合には、税務署長はその請求に係る課税標準等又は税額について調査をして、更正をし、又は更正をするべき理由がない旨をその請求した者に通知することとなっている。この更正の請求にともなう、更正又は更正すべき理由がない旨の通知についての期限は特段の規定はない。つまり更正の請求があったとしても、原則として法定申告期限から5年を経過した日までにすればよいことされている。ただし、更正の請求が更正期限間際に提出されてしまうと、税務署は調査と減額更正の処理に期限に時間を要してしまうので、法律の期限までに減額更正をすることができないおそれがある。このような場合を考えて、更正をすることができないこととなる日前6月以内にされた更正の請求については、上記の期間制限にかかわらず、更正の請求があった日から6月を経過する日までできるとされている(国税通則法第70条3項)。

更正の請求があった場合、目安としてどの程度の期間で減額更正がなせれると考えればよいのだろうか。国税庁のHPに掲載の手続案内では、標準処理期間について「審査内容、処理件数等により異なりますので、提出する税務署(所得税担当)におたずねください。」との記載を見ることはできるが、具体的な目安は不明だ。

ひとつの考え方として、還付加算金との兼ね合いが考えられる。更正の請求があった場合の還付加算金の計算は減額更正後1月又は更正の請求後3月のいずれか早い日の翌日から支払決定の日までの期間である。8月10日に更正の請求書を提出した場合は11月11日から還付加算金が附されることになる。支払事務に多くの日数を要するほど、還付加算金が多額となるため、支払決定の日までの税務署の手続を考えると10月末までというが減額更正の処分の目安になると考えられる。税理士としても、円滑に更正処分がされるよう、更正の請求の理由と事実を証明する書類(添付書類)をしっかりと準備して提出する必要があるだろう。

先日、提出した更正の請求について、税務署の担当官から、「9月末が期限なのでそれまでに手続きをいたしますね」と言われた。厳密にいえば、更正ができる期限は当面先なので、担当官が言う期限とは税務署内部的の一次的な期限なのだろうが、担当官は還付加算金を意識して発言されたものと思われる。

下記のように、会計検査院から還付金の支払事務に関して改善の意見がでているとおり、税務行政も還付加算金を意識することが求められているのだろう。

還付金が高額となっている申告について他の還付申告と区分するなどして支払事務に要する日数を短縮することなどにより、還付加算金の節減を図るよう改善の処置を要求したもの

確定申告後の更正に基づく中間納付額等の還付金に係る還付加算金の計算期間について、申告納税額の過誤納金に係る還付加算金の計算期間との均衡を考慮した適切なものとするよう意見を表示したもの

 

 

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です